長尾 咲

今回の展示に関して: 

作品が空間の中にあることによる相互作用について考えました。今回のテーマである自然とはそもそもどのような状態のことをさすのでしょうか。人間が動物であるとするならば、理性や自我は異質なものかもしれません。本能の赴くままに生き、生存活動に直接的には不必要な創作活動などエネルギーの無駄遣いです。しかし、私は何かを作ることはとても楽しく、自己表現を通して私らしく生きていけると感じます。これは私が自然体で生きていくためには必要な術でしょう。自然体に近づこうとすればするほど、元々やらなかったことをやっている自分が、もう動物ではなくなったことを痛感します。 

かつて人間が猿だったときには、自然という言葉はありませんでした。自然という言葉を作ったときに、人間は自然を他者として捉えだしたのではないかと考えます。今回、屋外に作品を展示することによって、人間的だとされる活動がどこまで自然な行為であるのかについて考えていきたいです。 

《動物だった》  

材質:陶 

作品コンセプト: 

自分は蛍光色などの派手な色が好きだけど、シンプルで自然な風合いのものにも憧れます。自然に近づこうと思えば思うほど、自分の作為的な部分を感じてしまい、完全に何かに馴染むことは難しいのだと思います。だって本当はショッキングピンクやオレンジが好きだから。この作品は土でできていますが、焼くことによって人工物になりました。自然由来のものなのに、いつのまにか意志を持ち始めた私たちは、どこにいるのでしょうか。